乳酸アシドーシス

乳酸アシドーシス

    2つの病態が考えられる

    ① 組織の低酸素がある場合
     ・嫌気的解糖が亢進して乳酸が過剰に産出される
     ・ショック、重症呼吸器疾患、DICなどの全身性と、閉塞性動脈硬化症、絞扼性イレウスなどの局所性がある

    ② 組織の低酸素がない場合 
     ・インシュリン欠乏、ミトコンドリアなどの代謝異常で生じる
     ・敗血症(ショックの原因で最多)、AKA、肝不全、腎不全など

【症状】


【鑑別の順序】

    ① まず、全身の低酸素や循環不全をきたす疾患(TYPA A:ショック、重症呼吸不全など)を確認
    ② 次に、局所の循環不全をきたす病態(TYPA A:閉塞性動脈硬化症、絞扼性イレウス、卵巣嚢腫茎捻転など)を検討
    ③ TYPE Aが除外されれば、TYPE Bを検討する。アルコール使用障害、肝硬変、腎不全などの基礎疾患を確認
    ④ 引き続いて痙攣発作、薬物中毒などを検討


【治療】

    ① 原疾患の治療と循環不全の是正
    ② 重炭酸ナトリウム投与については否定的な意見が多い
     敗血症性ショック pH≦7.2かつAKINスコア2〜3のときのみ推奨(専門医に委ねるべきと思う)


     DKA pH>7.0では予後を改善せず、<7.0ではRCTなし
     アルコール性ケトアシドーシス、飢餓によるケトアシドーシス 投与してはならない

    参考文献)
    1. 日本救急医学会HP「乳酸アシドーシス」
    https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0420.html
    2. 清野弘明 他「 乳酸アシドーシス」日内会誌 93:1519~1524,2004
    3. 増井伸高「POCTハンター」 中外医学社 2022