疾患
低Na血症の治療
低Na血症治療
重症度は血清Na濃度、発症からの時間経過、臨床症状により判断されるが、最も重視すべきは臨床症状である
【重症の場合】
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・3%食塩水を用いて補正する
3%食塩水の調整
① 5%ブドウ糖70ml+10%NaCl30ml
② 生理食塩水400ml+10%NaCl120ml
1) 3%食塩水100mlを10分かけてIV(600ml/時)
2) 重篤な神経症状が続く場合には、同様に3%食塩水100mlの投与を10分おきに、さらに1〜2回追加する
3) その後は3%食塩水を50〜100ml/時で持続投与
・2時間おきに血清Na濃度を確認
・症状が消失、あるいは血清Na濃度>120mEq/Lとなれば3%食塩水は中止
◎ 浸透圧性脱髄症候群予防のために血清Na濃度の補正は9mEq/L/日以下にしなくてはならない
- 浸透圧性脱髄症候群: 急激な血清Na補正によって、橋中心に中枢神経系に脱髄が生じ、意識レベル低下、四肢麻痺、仮性球麻痺、痙攣などを生じる
【中等症の場合】
3%食塩水を50〜100ml/時で持続投与
・2時間おきに血清Na濃度を確認
・症状が消失、あるいは血清Na濃度>120mEq/Lとなれば3%食塩水は中止
・24時間での補正は4-6mEq/L以下とする
必要とされる3%Na食塩水の量の算出
3%食塩水1Lを投与したときの血清Na濃度上昇予測(mEq/L)
血清Na濃度を9mEq/L/日上昇させるのに必要な3%食塩水量(ml)
血清Na濃度を4mEq/L/日上昇させるのに必要な3%食塩水量(ml)
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・3%食塩水は30X17= 510mEq/L
【軽症あるいは無症候の場合】
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細胞外液量増加のある場合 水・塩分制限、利尿薬
細胞外液量正常の場合 水制限(<800ml/日以下)
細胞外液量減少の場合 Na補充(生理食塩水投与、高タンパク食、高塩分食)、起立性低血圧等があればフロリネフ投与
・細胞外液量の評価については下の資料を参照
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参考文献)
1. 角浩史 冨永直人「低ナトリウム血症~その病態に基づいた鑑別診断~」日内会誌 111:902~911,2022
2. Spasovski G, et al : Clinical practice guideline on diagnosis and treatment of hyponatraemia. Eur J Endocrinol 170 : G1―47, 2014.