症候
腎臓・泌尿器 (3)
タンパク尿
タンパク尿
【STEP1 経過観察】
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・試験紙法で±〜2+程度であれば、数ヶ月間フォローして尿タンパクが持続している場合に以下の評価を行う
・若年者では体位性タンパク尿の可能性を考えて早朝第一尿で再検する
・より高度なタンパク尿であれば早期に評価対応する
・特に高血圧、腎機能障害、血尿などを伴う場合は腎機能予後が悪い場合が多いので早期の評価が必要
【STEP2 初期評価】
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① 問診、理学所見
・1〜2週間先行する上気道炎
・高血圧、浮腫
・発熱、倦怠感、体重減少
・皮疹(特に紫斑)、出血傾向
・関節痛、咽頭痛
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◎ 腎臓専門医への紹介のタイミング
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・以下、②、③を行って紹介するのが丁寧だが、尿タンパク量が多い場合は、紹介を優先する
(1日尿タンパク排泄量)
・病的なタンパク尿の検出には本来は1日蓄尿によるタンパク定量が必要
・試験紙法は随時尿の評価なので、濃縮尿の場合は高度に、希釈尿の場合には軽度の結果になる
・そこで、随時尿で尿タンパクを評価する場合は、尿タンパククレアチニン比を用いて、1日尿タンパク排泄量を推定する
尿タンパククレアチニン比: 尿タンパク(mg/dl)/尿中クレアチニン濃度(mg/dl)
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0.2g/日以下: 正常
0.3〜0.5g/日: 1ヶ月後に再検し、持続していれば1〜2年以内に腎専門医紹介
>0.5g/日以上: 数ヶ月以内に腎専門医に紹介
>3.5g/日以上: ネフローゼ症候群の可能性が高く、ただちに腎専門医に紹介
ネフローゼ症候群
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・糖尿病がある場合には微量アルブミン尿(尿中アルブミン・クレアチニン補正)を用いる
(eGFR)
40歳未満 <60
40〜69歳 <50
70歳以上 <40
・年齢にかかわらずeGFR<45では紹介すべき
・上記を満たさなくてもeGFRが週~月単位で低下する場合
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② 血液検査、尿検査
③ 画像診断 エコー、CTなどによる腎臓萎縮の有無、腫瘤、水腎症などの所見の確認
【STEP3 鑑別診断】
★ 以下で当てはまるものをチェック
問診、理学所見
検査所見、画像所見
溶連菌感染後糸球体腎炎
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参考文献)
1.中西重清 德田安春「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
2.德田安春「ジェネラリスト診療が上手になる本」カイ書林 2011
3.日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会「臨床検査のガイドライン」2021
4.浅野泰「蛋白尿からの診断プロセスと対策」日本内科学会雑誌 第92巻 第3号 2003