症候
胸部・循環器 (5)
比較的緊急性の低い胸痛
比較的緊急性が低い胸痛
評価と対応
胃食道逆流
- ・食後や就寝中に増悪する胸骨裏の灼熱感
心膜炎
- 突然の前胸部の鋭い疼痛で典型的には「座位で軽減、仰臥位で増悪」
Cervical angina
-
・頸椎神経根症による根性疼痛が大胸筋に生じたもの
・主たる症状は頚椎運動後に誘発される耐え難い発作性の前胸部痛
・疼痛は左前胸部以外にも、左下胸部、胸骨背部、心窩部などに出現することがある
・前駆症状として、頸部痛、肩こりが増強するのが特徴
肋軟骨炎
・痛みは肋軟骨上にあり明確な圧痛がある。
肺炎・胸膜炎
・咳・深呼吸で増悪するが触診では誘発されない。打診では誘発されることもある。肺炎では炎症が胸膜に及ぶと生じる
帯状疱疹
- ・胸部の神経分布に沿った連続する肋骨および肋間の皮膚に生じる灼熱感あるいはしびれ感。皮疹の発症に先行して生じる
気胸、縦隔気腫
- ・急性胸痛で様々な程度の呼吸苦・呼吸困難を伴う
・理学的には片側の呼吸音の減弱、声音震盪の左右差など。縦隔気腫では胸骨裏の握雪音
・画像診断を行う。エコーは利便性が高い
肺癌、縦隔腫瘍
- ・肺炎・胸膜炎と同様の痛みだが長期間持続して増悪傾向がある。画像診断が必要
脾梗塞
- 突然発症の左季肋部〜側腹部痛で、しばしば左肩に放散する。ほとんどの例では心疾患や血液疾患などの基礎疾患を有している
・エコー、CT、血管造影などによって診断する
- 参考文献)
下門清志 他「左側腹部激痛にて発症した特発性脾梗塞の1症例」日臨外医会誌 63(6)1424-1428,1992