中心性脊髄損傷
  • 外傷性頸髄不全損傷のなかで、神経症候学的に下肢よりも上肢に強い運動障害、感覚障害をきたす症候群
  • 脊髄中心部の損傷であるため、下肢に比して上肢の麻痺が重度
  • 脱臼・骨折を伴わない非外傷性頸髄損傷(多くは過伸展強制損傷かつ非骨傷性損傷)として発症する
  • 頸椎症や頸椎後縦靱帯骨化症などの伴う脊柱管狭窄が存在していることが多い

【症状】

  • 運動麻痺は下肢より上肢に強い
  • 両側性の温痛覚障害を伴う
  • 重篤なものでは強い下肢麻痺や膀胱機能障害を伴う

【治療】

  • 多くの例では時間経過とともに神経症状が改善する
  • 予後良好因子は、40歳以下、広い脊柱管、上肢型損傷など
  • 予後不良因子は70歳以上、脊柱管の狭小化
  • MRIで、T1等信号/T2等信号が良好で、T1低信号/T2高信号が一般に予後不良
  • 予後良好な疾患とされているが、完全に回復する例はわずかであり、ほとんどが何らかの神経障害を残す
  • 急性期に重度の麻痺を来す例では機能予後はよくない
参考文献)
  1. 林浩一 他「中心性頸髄損傷の病態と治療」千葉医学 86:167 ~ 173,2010