腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

・加齢による椎体の変性、黄色靱帯の肥厚などにより、腰部脊柱管および椎間孔が狭小化することで生じる。
・最も一般的な症状は歩行時の下肢の痛みやしびれ。
・間欠性跛行:歩行により増悪し、体幹屈曲で症状が軽減する。
自転車では痛みは生じず、ショッピングカートを用いると軽減する。
・50歳代以降に発症し、加齢とともに増加する。
・腰痛で外来受診する60歳以上の患者の原因として最も多い。

診断

・間欠性跛行が特徴的ではあるが、感度は60%しかなく特異的な所見ではない。
・体幹伸展テストまたはKempテスト陽性、かつ、SLRテスト陰性の場合に可能性が高い。
・日本脊椎脊髄病学会の診断サポートツールを用いる(感度92.8%、特異度72.0%)。
・診断には腰椎MRIが必要。画像所見だけでは診断に不十分であり、臨床症状と画像所見が一致したときに確定診断とする。

Kemp test

患者を坐位または立位とし、検者の手で患者の胸腰椎を斜め後方に曲げる。

腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール

60歳未満 60から70歳 71歳以上
糖尿病の既往がない 間欠性跛行がある 立位で下肢症状が悪化
前屈で下肢症状が軽快 前屈による症状出現 後屈による症状出現
ABI0.9以上 ATR低下・消失 SLRテスト陽性

腰部脊柱管狭窄症

治療

・薬物治療は、まずNSAIDs、プロスタグランジンE1製剤などから開始する。
・効果が乏しければ、トラマドール(トラムセット)やフェンタニル(フェントステープなど)を検討。
・症例によっては硬膜外ブロック、神経根ブロックを行う。

参考文献

1. 豊田耕一郎「腰部脊柱管狭窄症」日本医事新報 電子コンテンツ 2006年10月
2. 德田安春「病歴と身体所見の診断学」医学書院 2017
3. ジョセフ・J・シブリアーノ「整形外科テスト法(3版)」医道の日本社 1997