DICの診断

DIC

  • 基礎疾患の存在下に全身持続性の著しい凝固活性化を来たし、細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態
  • 3大基礎疾患は、急性白血病、固形癌、敗血症
  • 症状は出血症状と臓器症状だが、臨床症状が出現すると極めて予後不良
  • 死亡率は概ね40〜65%

◎予後改善の観点から、基礎疾患が存在すれば、症状がなくても速やかに血液凝固検査を行う

【DIC診断基準】

PT、APTT、フィブリノーゲン、FDP(あるいはD-dimer)、アンチトロンビン(%)、TAT、SF(またはF1+2)を全て測定し、以下の評価を行う

DICのタイプ

    造血障害型
    感染症型
    基本型(上記にあてはまらない)
    造血障害型:急性白血病や、悪性リンパ腫でも骨髄浸潤がある、あるいは抗がん剤による骨髄抑制がある場合

血小板数(万/μl)

    12未満 8より大きく12以下 5より大きく8以下 5以下

24時間以内に血小板数(万/μl)の30%以上の低下

    ある ない

FDP

    10未満 10以上で20未満 20以上で40未満 40以上
    FDPを測定していない施設(D-ダイマーのみ測定の施設)では,D-ダイマー基準値上限2倍以上への上昇があれば上記「10以上で20未満」を選択

フィブリノゲン

    150より大きい 150以下で100より大きい 100未満

プロトロンビン時間比

    1.25より小さい 1.25以上で1.67より小さい 1.67以上
    プロトロンビン時間比:ISIが1.0に近けれINRでも良い

アンチトロンビン(%)

    70より大きい 70以下

TAT、SF(またはF1+2)が基準範囲上限の

    2倍未満 2倍以上
  • トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)、プロトロンビンフラグメント 1+2(F1+2)
  • 採血困難例やルート採血などでは偽高値で上昇することがあるためFDPやD-ダイマーの上昇度に比較してTATやSFが著増している場合は再検
  • 即日の結果が間に合わない場合でも確認する

肝不全

    なし あり
    肝不全:以下のいずれかの場合
    (急性肝不全)ウイルス性、自己免疫性、薬物性、循環障害などが原因となり正常肝に障害が生じ、初発症状出現から8週以内に高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間活性が40%以下ないしはINR値1.5以上を示すもの
    (慢性肝不全)肝硬変のChild-Pugh分類BまたはC (7点以上)
Child-Pugh分類

合計  

診断

*FDPまたはD-dimerが正常であればDICの診断でも実際はDICの可能性は低い

治療

参考文献)
  1. 朝倉英策「播種性血管内凝固(DIC)の 診断と治療」日内会誌 109:1378化rs1385, 2020
  2. 一般社団法人 日本血栓止血学会 「DIC診断基準2017年度版」