溶血によらない様々な貧血

溶血によらない貧血

    ・このカテゴリーには様々な原因による貧血がある
    ・MCVは原因を推測する手がかりになるが、原則からはずれた値を取ることも多いので参考程度と考えた方が良い
    ・まず、以下の検査を一通り行う
Fe TIBC フェリチン TSH FT4 ビタミンB12 葉酸 CRP 血沈、亜鉛、銅

MCV
    小球性 正球性 大球性

フェリチン

    低下 正常 増加

ビタミンB12

    低下 正常 増加
葉酸
    低下 正常 高値
CRP,血沈
    正常 亢進
TSH
    低下 正常 高値
エリスロポエチン
    低下〜正常 高値
網状赤血球
    低下〜正常 高値
亜鉛
    80μg/dL以上 80μg/dL未満
    欠乏あり 欠乏なし

鉄欠乏性貧血(IDA)

慢性疾患に伴う貧血

ビタミンB12,葉酸欠乏による貧血

甲状腺疾患に伴う貧血

腎性貧血

    ・最近のCKDガイドラインでは腎性貧血の場合にはエリスロポエチンの測定は推奨されていない
    ・正常値であっても腎性貧血は除外されない。高値であれば除外される

サラセミア

    サラセミアは先天性溶血性貧血に属するが、軽症では溶血はほとんど起こらず、また本邦では軽症が大部分であるためここに取り上げた

亜鉛欠乏性貧血

銅欠乏性貧血

    *「ビタミンB12・葉酸欠乏」による貧血疾患一覧の「代謝・栄養障害」から該当項目も参照

以上で説明がつかないとき

    ・造血器疾患や骨髄占拠制病変による造血障害
    ・骨髄異形成症候群
    ・肝硬変

    などを検討する

    実際には、高齢者では「軽度の造血障害」としか表現しようのない病態が多いが、そのような場合は適切に経過観察を行う