CIWA-Ar

CIWA-Ar

    ・アルコール離脱症候群を疑う症状がみられたときに重症度を評価するためのツール

       アルコール離脱症候群の発症を予測する目的では使えないことに注意

嘔吐

    なし 軽度の嘔気 むかつきを伴う間欠的嘔気 持続的嘔気・頻回の嘔吐

振戦

    なし 軽度(視診で確認できないが、指先では感じる) 中等度(上肢を進展させると確認できる)
    高度(上肢を進展しなくても確認できる)

発汗

    なし 手掌が湿潤 前頚部に滴状の発汗 全身の大量発汗

不安

    なし 軽度の不安 中等度の不安(警戒感がある) パニック状態

興奮

    なし 活動性はやや増加 そわそわしている 歩き回る・絶えず激しく動く

頭痛

    なし ごく軽度 中等度 やや重度 重度 極めて重度

見当識障害

    なし 日付、場所、人を連続して答えられない
    2日以上の日付の間違い 3日以上の日付の間違い 人や場所がわからない

聴覚障害

    なし 物音に過敏だが軽度 中等度の聴覚過敏 高度の聴覚過敏
    軽度の幻聴 中等度の幻聴 高度の幻聴 持続性の幻聴

視覚障害

    なし ごく軽度の光過敏 中等度の光過敏 高度の光過敏
    軽度の幻視 中等度の幻視 高度の幻視 持続性の幻視

触覚障害

    なし ごく軽度のかゆみ、しびれ、灼熱感など 軽度の体感幻覚 中等度の体感幻覚
    やや重度の体感幻覚 重度の体感幻覚 極めて重度の体感幻覚 持続性の体感幻覚
    * 体感幻覚: 内臓感覚、皮膚感覚、痛覚等の幻覚

合計  

CIWA-Ar  

【対応】

    1. この評価を行うような疑いがあれば結果が「軽症」であってもを予防を開始する
    ロラゼパム2.0〜4.0mg 4X

    2. CIWA-Ar≧8点では治療介入を始める
     ① ジアゼパム静注
       ・5〜10mgの静注を行って再評価し、8点以上が持続していれば繰り返す。何回でも繰り返す
       ・致死的な病態なので投与を躊躇せずに、速やかかつ十分量を投与する

    3. ビタミンB1投与
       ・アルコール使用障害の患者が救急外来などを受診した場合には原則としてビタミンB1の投与を行う
       ・状態が悪ければビタミンB1血中濃度の検体にこだわらず可能な限り早期に投与する
       ・投与量は病態により異なる。ウエルニッケ脳症が疑われる場合は大量となる

    参考)
    1. Long B, et al. Alcoholic Ketoacidosis: Etiologies, Evaluation, and Management. J Emerg Med. 2021 Oct 25:S0736-4679(21)00717-4. PMID: 34711442.
    2. 寺井秀樹 他「アルコール性ケトアシドーシスを合併した2型糖尿病の1例」糖尿病 49(5):343~348, 2006
    3. 横山雅子 他「救急患者におけるアルコール性ケトアシドーシスとアルコール性ケトーシスの検討」日救急医会誌 2002; 13: 711-7