睡眠・覚醒相後退障害(Delayed Sleep Wake Phase Disorder : DSWPD)
    ・有病率は一般人口の0.17%、高校生の0.4%と推定されている
    ・不登校や欠勤など社会的な不適応をきたしやすい
    ・慢性に経過し長期間の治療が必要
    ・同じ概日リズム睡眠障害に睡眠相前進型もあり、入眠時間が極端に早くなり、深夜に目がさめる。高齢者に多い

病態と症状

    ・睡眠の時間帯を調節する体内時計の変調により睡眠する時間帯が極端に遅くなっているために、日常生活や社会生活が障害されている状態
    ・寝付く時間が徐々に遅くなり、朝に寝て夕方に目がさめる
    ・無理に朝起床すると日中に過剰な眠気をきたす
    ・睡眠の時間と質は保たれている

治療

    ・睡眠衛生指導で改善しない場合は専門医に紹介する
    ・多くの場合は睡眠薬が効かない
    ・就寝前のゲーム、テレビ、カフェインやアルコールの摂取を避けるなどの生活指導が行われる
    ・高照度光療法や睡眠時間帯をさらに送らせることでリセットする時間療法などがある
    ・薬物はメラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)が用いられる


    参考文献)
    1. 藤井幸乃「睡眠障害」Vol. 56 No. 10. 2016 心身医
    2. 内山真「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」じほう 2019
    3. 鈴木正泰/編「不眠への対応」レジデントノートvol.24 No.10 2022 羊土社