ランバート・イートン筋無力症候群
  • 神経筋接合部や自律神経終末の電位依存性カルシウムチャネル(voltage-gated calcium channel:VGCC)に対する自己抗体が産生され運動神経終末からのアセチルコリンの遊離が障害されて発症する一種の自己免疫疾患と考えられている。癌合併の有無にはかかわらない
  • 50%以上に悪性腫瘍,主に小細胞肺癌を合併する
  • 約90%では神経終末の活性帯に局在するP/Q型電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)抗原に対する自己抗体が生じ、その結果、神経筋接合部と自律神経の刺激伝達が障害される
  • 有病率0.27人/10万人

【症状】

  • 四肢近位筋の筋力低下
  • 腱反射消失
  • 自律神経症状(ドライマウス、性機能障害、便秘、排尿障害など)
  • 10%程度で急性の小脳失調を生じる(某腫瘍性小脳変性症:PCD)

【検査】

  • 反復刺激試験(筋電図)
  • P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体
  • 原疾患となる悪性腫瘍(特に小細胞肺癌)の検索は繰り返し行うべき

【診断】

  • 症状、反復刺激試験の異常、病原性自己抗体から行われる
  • 日本神経学会から診断基準が示されている

【治療】

  • 第一選択は 3,4-ジアミノピリジン(3,4-DAP): 必ずLEMS症状が改善し、深刻な副作用がない
  • 腫瘍があればこれを治療する
参考文献)
  1. 日本神経学会「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022」
  2. 清水英治 他 「肺癌と腫瘍随伴症候群」日 内 会 誌 88:2252~2259,1999