症候
筋・骨格系 (2)
体動で増悪する腰痛
体動で増悪する腰痛
腰部椎間板ヘルニア
- ・椎間板に負荷をかける動作や体位に誘発されて突発する痛みやしびれ、異常感覚。症状は皮膚分節に沿って背部から足部に放散する。L4、L5、S1神経根が95%以上を占める
腰腰部脊柱管狭窄症
- ・下肢の痛みとしびれ歩行が、長時間の立位で増悪し、体幹屈曲で軽減する
強直性脊椎炎
- ・腰背部痛とこわばりは夜間や明け方に悪化し、運動で軽快する。若年の特に男性で起こりやすい
腰椎分離症
- ・思春期の運動時痛では必ず考える
・腰椎分離症の発生率は一般日本人で約6%、スポーツ選手では15~40%。好発年齢は12~17歳、特に男子に多いく、中高生が9割を占めている
・運動などで椎弓に過剰な負担がかかって疲労骨折を起こして発症する
・好発部位はL5で患部には圧痛を認める
・腰椎伸展で増悪し、しばしばKemp testが陽性になる(腰部椎間板ヘルニアのシート参照)
・初期には単純X線で診断できず、MRIが必要
・早期に発見して適切に治療すると分離が偽関節となるのを防ぐことができる
・偽関節ができると脊椎分離すべり症となり神経症状をおこすことがある
* 早期診断・早期治療が重要。治療が遅れると腰椎分離すべり症となり神経症状を合併する
横突起骨折
- ・腰部の筋が激しく収縮すると突然に生じる
・棘突起の外側に著明な圧痛を認める
・診断は腰部単純X線で用意
・治療の基本は腰の安静。適宜内服や貼附剤を用いる
・後腹膜出血を生じ、出血性ショックを来すこともある
筋・靱帯損傷
- ・荷物を持ち上げたり、腰を屈曲もしくは回旋させたときに突然に生じる
・腰部〜臀部、大腿後方に放散するが、膝より末梢には広がらない
・筋の痙攣が見えたり、もしくは触知することもある。誘因となった動きで誘発される
非特異的腰痛
- ・以上のように適切に評価を行っても原因不明の腰痛
・「体動で増悪する腰痛」の約70%をしめる
- 参考文献)
1.中西重清 德田安春「プライマリケア外来診断目利き術」南山堂 2020
2.喜安克仁「学童期の腰椎分離症」日本医事新報 電子コンテンツ 2019年 2月
3.德田安春「病歴と身体所見の診断学」医学書院 2017
4.生坂政臣「早わざ外来診断術」中山書店 2009
5.鈴木慎吾「外来診療の型」メディカル・サイエンス・インターナショナル 2020
6.小林只 他「The 整形内科」 南山堂 2016